俺を好きになってよ。
「じゃあねー、りっちゃん」
「あ、うん!バイバイ!」
私に手を振って教室を出ていった南。
上靴のかわいた音だけが微かに聞こえてやがて消えた。
「私もそろそろ帰るか」
重いプリントを持って職員室を目指す。
足元見えないから危ないな…
そう思いながらも何とか階段を降りて職員室に到着。
そして先生にプリントを渡し、玄関に向かい帰ろうとした時、玄関に人影があった。
あれ、もしかして…
「南?何してるの?」
帰ったんじゃ…
「俺、先生に呼び出されててさ、んで今帰るとこだったの!」
「そうだったんだ」
「そ!って外暗いじゃん!」
ホントだ…気にしてなかったけど暗くなり始めている。
早く帰らなくちゃ…。
「りっちゃん暗いの苦手でしょー、送ってってあげるよ」
「え、いいの?遠回りじゃん」
南の家の正確な場所までは分かんないけど、私の家とは逆なのは確か。
「いいの!これも男の子の役目だよー」
暗いの苦手って覚えててくれたんだ…
もし、南じゃない他の男子だったら何女の子ぶってんだって言われてるかも。
だから
女の子扱いされて素直に嬉しかった。
別に女の子扱いされてないって訳じゃないけど。
普段から男子とは口喧嘩や軽い叩きあいだから。
あぁ、こんな性格だからダメなのかな…。
ってしみじみ思ったよ。
「ありがとう、南!たまには優しいとこあんじゃん!」
「たまには余計ですー」
それから、くだらない話をしたりお互いの恋について話したりして帰った。
南
本当は待っててくれたんだよね?
先生に呼び出されたとか嘘ついて。
私は改めて南の優しさに気づいたのだった。