春の遠吠え
遊び慣れた女と、
その日抱ける相手を探す男
そんなヤツらが集まるクラブに、
君は1人、カウンターにいた。
その場に似つかないほど、
君は純白で、やわらかくて、
その周りには男が群がるように
君を口説こうと躍起になっていた。
君の返事は全部
「うん、いいよ。」
そう言うだけ。
目も合わせず、目線も揺れない、
ただ真っ直ぐに並べられたボトルを見つめ
壊れた人形のように
そう言うだけ…。
僕は君が、汚されるのだと思った。
決して僕のものではないし
僕のものになることはありえないのに。
この時から僕はもう
君に全て奪われていたのかな。