春の遠吠え
鏡越しに君と、
一瞬目が合った気がした。
僕は慌てて目をそらしたけど、
馬鹿らしくなって、
ふっと笑ってしまったんだよ。
だって大勢が取り囲んでるのに
なんでこんな普通な僕を
君が見るんだって思ったからね。
君みたいな人と僕は、
交わることはないんだ。
絶対に。
そう思ったのに、君は
僕の元まで歩いてきてくれたんだ。
僕に向けられた微笑みは
何故か特別なんじゃないかって
ほんの一瞬
僕は期待したんだよ。
そしたら君は僕に言ったね。
「静かな所へ連れて行ってくれない?」
ただその言葉だけが僕の頭に響いて、
クラブのミュージックなんて
聴こえてこないような、
そんな感覚になったよ…