24歳、恋愛処女
第一章
……はぁーっ。

思わず、大きなため息が出て箸を置いた。

「彩夏(さいか)ちゃん、どうしたの?
これ、おいしくない?」

「あ、いえ、木山さん。
おいしんですけど……」

心配そうに顔をのぞき込んできた木山さんに、慌てて首を横に振る。
ほかのメンバーも同じく心配そうな顔になった。

「唐辛子がきいてて、ピリピリしてあと引くおいしさっていうか。
いいと思います」

今度、会社で取り扱うようになる、ロブスターの提案料理。
ぶつ切りにして唐辛子なんかの香辛料と炒めてみた。
見た目もインパクトあるし、ビールのつまみなどにちょうどいい。

「なら、なんでため息?」

不思議そうに木山さんの首が傾き、みんなうんうんと頷いてる。
まあ、確かにそうなりますよね。

「……歯が、痛くて」

「歯?」

「はい」
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