24歳、恋愛処女
「急いできたの?」

「だって、お待たせしたら、悪いから」

「彩夏のそういうところ、可愛い」

むぎゅっと突然抱きしめられて、どこかでばふって音がした。
それに、通勤帰りの人たちが見てて恥ずかしい。

「ま、真人、さん」

「ん?」

どうにか腕の中から抜け出ると、不思議そうに首を傾げる。

「は、恥ずかしい、です」

「だから、彩夏は可愛いんだって」

再びむぎゅっと抱きしめられて、完全に抵抗する気を失いました……。

 
タクシーの中、隣に座る真人さんは私の手を握ってる。
ご機嫌そうなので、昨日のことは怒ってないようでほっとした。

着いた先は料亭だった。

……いや、確かに日本酒のおいしいところとは聞いていたけど、料亭?
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