24歳、恋愛処女
くすり、おかしそうに笑われて、頬に熱が上がっていく。

「罰っていったって、変なことはしないよ。
特に、彩夏の嫌がることは。
だから、怖がらなくていい」

「……はい」

くすり、再び小さく真人さんが笑う。
助手席からだと、初めて右目下の小さなほくろに気が付いた。
眼鏡の陰になってわかりづらいし、いつも会うのは夜だから。

 
たわいのない会話をしながら真人さんは車を走らせる。
しばらくして、鎌倉に向かってるんだって気が付いた。

「真人さん?」

「デートだって云ったよね」

どこか楽しそうな真人さんはそのまま運転を続け、車は鎌倉の街に入った。
駐車場に車を預けると、手を繋いで歩き出す。

向かった先は鶴岡八幡宮。

一緒に並んでお賽銭を入れ、お参りをする。
願い事は……とりあえず、平和に過ごせますように、かな。
なんだか、真人さんに知り合ってからこっち、私のペースは乱されまくり、慌ただしい気がするから。
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