24歳、恋愛処女
「彩夏」

切なげに名前を呼ばれると、感情が溢れていく。
たまらなくなって手を伸ばし、ぎゅっと抱きついて気持ちを漏らす。

「好き。
真人さんが、好き」

「好きだよ、彩夏。
愛してる」

満ち足りてしまった私は、そこからあとのことはよく覚えてない。

 
涙を拭う指に意識が少しずつ浮かんでいく。

「身体、つらくない?」

「……大丈夫です」

まだ少し、痛みの残る身体を起こすと、真人さんの手がふれた。
そのまま抱き抱えられて、恥ずかしくて抵抗した。

「まだ歩くの、つらいだろ」

云い返せなくて、熱い顔で首に腕を回して抱きつく。
顔は見えなくても、真人さんが上機嫌なのがわかる。

浴室に運ばれて、身体を洗ってくれた。
パジャマ代わりのシャツを着せてくれて、また抱き抱えられてソファーへ。
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