24歳、恋愛処女
「日曜日、兄さんとデートだったんだろ?
どこ行ったの?」

「……鎌倉」

あの日のことはまだ聞かれたくない。
なのに、理央は話を続ける。

「鎌倉かー。
晩飯は?」

「……和食だった」

「じゃ、問題ないな。
……さっきから元気ないみたいだけど、どうした?」

信号待ちで車を止めた理央に、心配そうに顔をのぞき込まれた。
そんな顔にまた、ずきんと胸が痛む。

「……なんでもない」

「ちょっとだけ遠出するつもりだったけどやめとくか」

「なんでもないから!」

ぱぱーっ、信号が変わり車を出さない理央に、クラクションが鳴らされて慌てて車を出す。

「どうした?
兄さんになんかされたのか?
……まさか」
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