24歳、恋愛処女
そういえばこのあいだ、私にたくさん食べさせたいんだって云ってたな。

「彩夏ちゃん、おいしい?」

「おいしいけど。
こんなに食べたら太っちゃうよ」

理央は自分が食べるのもおろそかになるほど、せっせと私のお皿に取り分けてくれる。

「心配しないでも、ちゃんと痩せるダイエットメニュー、考えてやるから」

嬉しそうに笑う理央にまた胸がずきんと痛んだが気付かないフリ。

「やっぱり可愛いな、彩夏ちゃんは」

伸びてきた手が頬にふれ、びくりと身体が震えた。

「ソースついてた」

ぺろり、見せつけるように指を舐める理央に顔が熱くなっていく。

「彩夏ちゃんはさ。
なんで比べないの?
俺と兄さん」

「……は?
なんでそんなこと、しないといけないの?」

云われた意味がわからなくて、まじまじと理央の顔を見てしまう。
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