24歳、恋愛処女
「彩夏ちゃんも俺と一緒だったんだ」

「そうだね」

僅かに、理央に対して芽生えた感情。
でも、これはきっと、同病相憐れむって奴だと思う。

 
中華街を出ると、夜景のきれいなスポットに連れて行ってくれた。
後ろから私を包み込む理央に、いつ話そう、そればかり考える。

「……もしかして兄さんに抱かれた?」

耳元で囁いた理央の声に、おそるおそる振り返った。

「違う?」

冷たく目を細めた理央に、思わず小さくかぶりを振る。
云わなきゃ、そう思ってるのに声にならない。

「なら、俺に頂戴?
彩夏ちゃんの、処女。
兄さんに渡したくないんだ。
彩夏ちゃんが……欲しい」

まるで自分を抱きしめるみたいにぎゅっと私を抱きしめた理央に、嫌とは云えなかった。
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