24歳、恋愛処女
窓の外、眼下に広がる夜景をぼーっと眺めてた。
理央はいま、シャワーを浴びている。

私はいまから……真人さんを裏切るんだ。

これが、真人さんのときのように、愛だの恋だのそういう感情からじゃないのはわかってる。

約束を破った後ろめたさと、同情。

拒むべきだってあたまでは理解してる。
でも、感情が拒めない。

「彩夏ちゃん」

私を呼ぶ声に振り返ると、理央が浴室から出てきてた。
おいでと座ったベッドの隣をぽんぽんされてそこに座る。

「いい?」

「……うん」

唇が重なって、少しずつ押し倒されていく。

後悔を忘れるように理央の手が唇が生み出す感覚に集中した。

またあの痛みが襲ってくるのかと身構えたが、もう初めてじゃないからかすんなりと理央を受け入れる。
代わりに襲ってくるのは、……甘美な苦しみ。
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