24歳、恋愛処女
「あっ、あっ、」

あたまがおかしくなりそうで、必死で目の前の人間に抱きつく。
溢れ出してくる感情が、無意識に口から漏れる。

「好き、真人、さん」

ぴたりと止まった動きに、ぼんやりとしたあたまで顔を見上げた。

「好きだよ、彩夏」

優しく笑うとそっと髪を撫でられ、嬉しくて私も笑う。
重なる唇を合図に再び甘く苦しい時間が始まり、完全におかしくなった私は快楽に沈んでいった。


 
目を開けると眠ってる真人さんの顔が見えた。

……ああ。
昨日のあれは夢で、私はちゃんと真人さんと。

顔に落ち掛かる髪を払って、そこにあるはずのものがないことに気がついた。

……右目下の、ほくろがない。
これは真人さんじゃなく……理央、だ。
やっぱり私は、真人さんを裏切って理央と。
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