24歳、恋愛処女
「ん……。
彩夏ちゃん、目、覚めたの……?」

「……うん」

私の顔を見た理央が眉根を寄せてそっと頬にふれる。

「なんで泣いてるの?
そんなに嫌だった?」

首を横に振ったものの泣き続ける私を、理央は優しく抱きしめていてくれた。

 
朝食にと近くのコーヒーショップでカフェラテとサンドイッチを買ってくれて車に乗ったが、手をつけることができずに黙っていた。
昨晩と同じで、理央も無言。
車内にかかる音楽だけが場違いに盛り上がる。
ひとことも話さないまま車は会社のあるビルの地下駐車場に停まった。

「……昼。
一緒に食べよう。
俺、今日は午後出勤だから」

駄々をこねるように小さく首を振ると、はぁっと小さくため息の音がした。

「あとで連絡する。
じゃあ、仕事、頑張って」

小さく頷くだけして車を降りる。
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