24歳、恋愛処女
お鍋を洗ってたら、佐伯さんが寄ってきたので手を止めた。

「あのさ。
下の歯医者、行くんでしょ?
あそこ、イケメン歯科医がいるらしいのよね。
連絡先、ゲットしてきてくれない?」

……ああ、またですか。

ひとつ年上の佐伯さんの趣味は合コンだ。
私も何度か連れて行かれたが、なにが楽しいのかさっぱりわからない。
料理がおいしいお店のときはラッキーだとは思うけど。
知り合いにエリートイケメンがいると聞けば、合コン設定したいから連絡先聞いてきてって誰にでもお願いしている。
私も過去に、お願いされたことがあるからこれで二回目だけど。

「前も云いましたけど。
私はそういうの、嫌なので」

「えー。
二村さん、彼氏欲しくないの?」

「別にいらないですし」

話を切り上げて洗い物を再開すると、佐伯さんはぶつぶつ云いながら行ってしまった。

彼氏が欲しくないか、よく聞かれる。
現在フリーというか、二十四歳という年齢イコール彼氏いない歴な私。
はっきり云ってしまうと、男に感心がない。
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