24歳、恋愛処女
あ、いや、だから女に感心があるとかいうわけじゃなく。
なんとなく、ひとりの方が楽っていうか。
映画だってひとりで行けるし、ひとりカラオケだってひとり焼き肉だって平気だし。
そういう自分のペースを乱されるのが嫌、っていうか。

 
定時で仕事を終え、四階のクリニックフロアに降りる。

私の勤めてる会社は、B.C.square TOKYOっていう、五十五階建てのオフィスビルに入ってる。
ちなみに私の職場は二十階。
ウェストバレーカンパニーって、ワインを中心に世界各国の食品を取り扱う会社だ。
所属する部署は企画開発室。
取り扱う商品の新メニューなんかを提案する部署。

 
クリニックフロアの一角にある歯科医を訪れると、そこは近所の歯科医と違ってまるでホテルのロビーのようだった。

まあ、それもそうか。
私が勤めてる会社のあるミドルフロアよりさらに上、アッパーフロアの人たちは、まさに雲の上の存在、みたいな人たちだから。
そういう人たちも利用するクリニックとなれば、これくらいは当たり前なのかもしれない。

 
予約制だが、事前に連絡を入れた時点で診てくれることになっていたので、受付を済ませてソファーに座る。

 
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