24歳、恋愛処女
「兄さん、お待たせ」

「……!」

案内された席、先に座っていた人に足が止まる。

「どうして……」

困惑しているその人に、逃げそうになった。
なのに、理央さんは私を半ば引きずり、無理矢理、自分の隣の椅子に座らせる。

「ああ。
俺たち、付き合うことになったの。
ねっ、彩夏ちゃん」

ぱちんと理央さんは楽しそうにウィンクしてきたが、私はただ、黙って俯くことしかできなかった。

「理央は本気なのか?」

顔を、あげられない。
怒ってる荻原さんの声。

「本気だから付き合うに決まってんだろ。
ファーストキスだってもらっちゃったし」

左手が掴まれて、持ち上がる。
なにをされるのか不安になって顔をあげると、見せつけるかのように理央さんが唇を落とした。

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