24歳、恋愛処女
「だいたいさ、なんで俺が責められるの?
大事なのは彩夏ちゃんの気持ちだろ」

急に自分の名前が出てきて、びくりと身体が震える。
感じる視線に怖々顔をあげると、同じ顔がふたつ、私を見ていた。

「彩夏ちゃんは俺が好き?」

「それとも、僕が好き?」

レンズ越しと、直接私を見つめる視線。

どっちが好き?

私に求められる、選択。

「わ、私は」

妙に上擦ってる私の声。
見つめる二組の瞳に、視線を泳がせる。

「わ、私、は。
その、最近、もしかして、荻原さんのことが、好きなのかも、とか思ったけど。
でもやっぱり、まだ、よくわかんない、し。
理央さんとは、キス、しちゃった、し」

ぐるぐるぐるぐる、回るあたまの中。

「はっきり云って、わかん、ない……」
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