24歳、恋愛処女
なぜか荻原兄弟ふたりとしばらくお試しで付き合うようになって、初めて荻原さんとふたりで会う日。

いままであんなに楽しかったのに、なんか憂鬱。



「彩夏」

待ち合わせ場所に行くと、携帯から視線をあげた荻原さんから、初めて名前で呼ばれた。
男性から名前呼び、しかも呼び捨てなんて家族からしかされたことがなくて、戸惑ってしまう。

「ん?
どうかした?」

俯いてしまった私の顔を不思議そうにのぞき込み、目が合うとふふっと笑われた。

「行こうか。
今日のお店、この近くだから」

「……はい」

さりげなく、手を繋がれた。
それだけでもう、軽くパニック。

「あ、もしかして手を繋ぐのも初めてだった?」
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