24歳、恋愛処女
云われた意味がわからなくて、まじまじと顔を見つめてしまう。

「理央のことは名前で呼んでるんだろ?
なのに僕は名字だなんて不公平だ。
それに僕も理央も荻原だから」

「……はい」

不公平、そんなことを云われても困ってしまう。
理央さんを名前で呼べるようになるまでだって、そこそこかかったのだ。

感情を誤魔化すようにワインを一口。
荻原さんはあきらかに、なにかを期待している。
いや、なにを期待されているのかはわかるんだけど、恥ずかしいっていうか。

「……熟成肉を食べさせてくれる専門のお店って、珍しいですね」

「そうだね」

話題を変えてみたけど、荻原さんは笑ってるだけ。

「取引先で導入を始めたところもあるんですが、まだまだっていうか」

「うん」

「しかもここ、産地直送なんですか?
私の知らないワイン、結構あるし」

「そうなんだ」
< 74 / 158 >

この作品をシェア

pagetop