24歳、恋愛処女
ううっ。
それは、やっぱり、……ですか?

「……えっと」

「真人(まこと)、だから」

ふふっ、おかしそうに笑うと、真人さんはワインを一口飲んだ。

「……真人、さん、は。
この店、よく来るんですか?」

名前を呼ぶだけでさっき飲んだワインが一気に回る。
心臓はばくばくするし、身体中が熱い。

「うん。
たまに、ね。
気に入った人しか連れてこないから。
女の子は彩夏が初めて」

「……そうなんですね」

嬉しそうにグラスを口に運ぶ、荻原……真人さんを黙って見てた。
せっかくの熟成肉のステーキだっていうのに、味はいまいちわからない。
恋愛ってこんなに苦しいものなのだろうか?
松本課長から苦しいとは聞いてたけど、なんか違う気がする。
ただパニクってるだけ。

「来週の土日、休みなんだ。
一緒に出かけないか?」
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