24歳、恋愛処女
「……はい」

「なのに付き合おう、と?」

完全に怒ってしまった真人さんは携帯を取り出すと、苛々と操作して耳に当てた。

「……ちっ。
でない、あいつ」

小さく舌打ちをすると、携帯をテーブルの上に置く。
見つめていた私の視線に気が付くと、手が伸びてきてあたまを撫でた。

「ごめんね、彩夏。
傷ついたよね」

なぜか真人さんの方が悲しそうで驚いた。
小さく首を横に振ったら、あたまを撫でていた手は頬にふれて離れる。

「僕は重いなんて思わないよ。
確かに、驚きはしたけど。
でも、そういうところも含めて、彩夏が可愛い」

手を取られて、指先に唇がふれる。
どうしてか、そこから嬉しいって気持ちが広がった気がした。

「理央はね、昔っから僕のものをなんでも欲しがるんだ。
そしてすぐに飽きて捨てる。
僕から奪うことが目的なんだろうね。
彩夏に固執してるのも、いつもと同じなんだと思う。
だから、気を付けて」
< 77 / 158 >

この作品をシェア

pagetop