24歳、恋愛処女
しかし腕はいいのか、治療のあとはぴたっと痛みが治まっていた。
歯が痛くないだけで機嫌もよくて、二階のカフェでいつものカフェラテを買って職場に向かう。

「おはようございまーす」

「おはよう、二村さん」

私と目が合うと、業界新聞を読んでた松本課長は新聞を畳んだ。

「昨日、歯が痛いって云ってたみたいだけど、今日はどう?」

「お騒がせしました。
昨日、歯医者に行ったのでバッチリです」

「そう、それはよかった。
……南谷がうるさくって」

後半、こそっと私に耳打ちすると、松本課長はにっこりと笑った。
それを目撃した佐伯さんがキャーキャー云ってるのがはっきりいってうるさい。
そりゃ笑うだろ、松本課長だって人間なんだから。

「どうして二村さんはそこで、落ちないの?」

無駄に朝から体力使ってぜーぜー云ってる佐伯さんは、一体なにを云ってるのかわからない。
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