24歳、恋愛処女
いやいや、約束しましたよね?
どっちを選ぶか決めるまで、キス以上のことはしないって。
それ以前に、いきなりなんてないでしょ。
そういうことが初めてな私は、心づもりというか、その前にいろいろ決心がいるんですよ。
なのになんでもないみたいにそんなこと云われたって、無理だって。

不信な目で見てる私なんか無視して、理央さんは伝票を手に立ち上がる。

……だけど。

「どこ行く気?」

ひらり、後ろから理央さんの手から伝票を奪う手。

「約束したこと、もう忘れたのか?」

口元は笑ってるのに、理央さんを見つめる真人さんの銀縁眼鏡の奥は笑ってない。

「なに?
見張ってたの?」

「まさか。
このあいだは誰かのせいで冷めたピザしか食べられなかったし、食事して帰ろうかなって」

うっ。
お願いだから、ここで睨み合わないでください。
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