24歳、恋愛処女
「……」

「行こう、彩夏」

まだなにか云いたそうに睨んでる理央さんを無視して、片手に二枚の伝票、もう片方の手に私の手を掴んで真人さんは歩き出した。

「あの、いいんですか?
その、理央さん」

「いいよ、あんな奴」

会計をすませると地下の駐車場に降り、車に乗せられた。
左ハンドル、白のセダン。
さすがというか。

「彩夏の家はどこ?」

「えっと……」

住所を告げるとナビに入力して真人さんは車を出した。
滑らかに走る車、かかってるのは静かな洋楽。

「今日はごめんね。
なにかするんじゃないかとは思ってたけど、まさかホテルに連れ込もうとするなんて」

……あ。
やっぱり心配で見張ってたんだ。
< 84 / 158 >

この作品をシェア

pagetop