24歳、恋愛処女
「あの!
松本課長に笑いかけられて!
落ちない女なんていないはずなのに!」

えーっと?
私にはやっぱり、佐伯さんがなにを云いたいのかさっぱりわからない。

「まあまあ。
彩夏ちゃんは花より団子だから。
今日の試作メニューはなにかなー?」

なぜか佐伯さんに詰め寄られてて困ってたら、木山さんがあいだに入ってくれてほっとした。

「今日は今度入荷が決定した、ワインに合うおつまみですね。
立食パーティなどに合う感じで」

タブレットに指を走らせ、今日のメニューの確認。

今度入荷するワインっていうのは、フランスの小さなワイナリーのワインだ。
いままではそのワイナリーがある村と、その村周辺くらいしか卸してなかったらしい。
けど、偶然、その村に遠縁がいるって方からうちの社員が譲り受け、惚れ込んで辛抱強く口説き落とし、今回、日本でも発売される運びになった。
お披露目パーティもすることになっており、その際のメニューをうちの部署で一任されている。

「今日は松本課長は……?」
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