24歳、恋愛処女
まだ私を唸りながら睨んでる佐伯さんは気になるが、任せなさいってばちんと木山さんがウィンクしてくれたので、先に職場に向かう。

「……おはようございます」

「おはよう、二村さん」

コーヒーを片手に業界新聞を読んでいた松本課長は、新聞を置くと私の顔を少し心配そうにのぞき込んだ。

「ん?
元気ない?」

「あ、なんでもない、です」

慌てて顔をあげて笑顔を作る。
あんな問題、仕事に持ち込んじゃダメだ。

「なら、いいけど」

「おはようございまーす」

松本課長が私から離れたところで、木山さんと佐伯さんが入ってきた。

「……いいご身分ね」

後ろを通る際、ぽつりと呟かれた悪意のある言葉に、びくりと背中が震える。
目があった途端、敵意丸出しの視線は逸れた。
また一触即発な室内に、誰もが息を飲んでいる。
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