24歳、恋愛処女
「あいたっ!」

「いたっ!
あ、す、すみません!」

勢いよく立ち上がったら、調理室のドアを開けた松本課長の顎に私のあたまがクリーンヒットした。

「ん。
予告なしに開けた僕も悪かったから。
……ちょっとは浮上したかな」

「はい、ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」

ビニール袋に氷を詰めて渡すと、松本課長は赤くなった顎にそれを当てた。

「二村さんはそういうとこ、ほんとサバサバしてていいんだけどね」

はぁっ、お疲れ気味な松本課長のため息。

「佐伯さんは僕も苦手」

聞こえてないからいいですけど、聞かれたらまたうるさいですよ?

「でも、二村さんが元気になったんならいいや。
今日試作に使う、苺のリキュール。
商品部に届いたって連絡きたから、取りに行ってもらえるかな」

「わかりました」
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