24歳、恋愛処女
いい子いい子って松本課長の手が私のあたまを撫でる。
だから、佐伯さんにあんな誤解を与えるんだって自覚はあるけれど、嬉しい。

 
商品部から品物を受け取って戻ってくると、松本課長は外回りに出ていた。
なぜか、佐伯さんも一緒に。

「あれねー。
松本課長、今日は商品部の人と一緒に、千葉の農家に行く予定になってたじゃない?」

「はい」

ハンドミキサーでメレンゲを作りながらなので、前園さんの声も私の声も、ついつい大きくなる。

「たまには外の空気を吸って、ついでに一緒に外でランチしようって、連れて行った」

できあがったメレンゲを、リキュールを入れって作った生地に混ぜ込んでいく。

「商品部の人間も大越さんで独身イケメンだから、渋々って顔は作ってたけど、喜んでついていったわねー」

苺を刻んでいた阿部さんはおかしそうにくすくす笑っていますが……こ、怖いです。
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