24歳、恋愛処女
「だいたい佐伯さん、うちの会社の男性を低く見てるところあるじゃない?
世間的に見れば、十分エリートなのに」

メレンゲを混ぜた生地を型に入れ、オーブンにセットする。
焼きあがるあいだに卵や牛乳、生クリームを準備してプリンを作る。

「そうそう。
もうちょっとわきまえなさいってね。
二村さんも十分わかってると思うけど」

「……はい」

調理室中に漂う、甘い香りのせいか、少し気分が悪い。
うちの部署は室長と課長をのぞき、全員が女性。
こう、やっぱり、いろいろ、ね。


 
……はぁーっ。
ジムでウォーキングしながらため息が漏れる。

面倒、いろいろ。
ほんと、面倒。

「ん?
どうした?
元気ないんじゃね?」

向こうからやってきた人に、はぁっ、またため息が出る。
< 96 / 158 >

この作品をシェア

pagetop