リミット・デイズ


すずはなんだかドキドキしたまま、りっちゃんに手を引かれていつものように帰り道を歩く。



学校からすずたちの家へはたったの10分くらい。



この町はド田舎だけん、家と家はそんなに密集しちょらん。

田んぼを挟んで、ポツリポツリと建っちょるくらい。


だけど、すずの家とりっちゃんの家は寄り添い合うように近くに建っちょる。


2階の窓を開けたら、りっちゃんの部屋が覗けてしまうくらい。




そのおかげでりっちゃんは必然的に毎日家まですずを送ってくれる。


だから少し暗くなっても、どっかで買い食いしたり、神社でおしゃべりしたりしちょる。




今日もりっちゃんは何も言わず当たり前のように、神社へと足を進めた。



獣道のような細い坂を、パチパチと枝にあたりながら数メートル登ると、小さな祠のような神社が顔を出す。


廃墟みたいな古いボロボロの神社。

すずが思うに、神様なんてきっともうおらん。



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