【短編】恋人関係のおわり頃。
「…ん」
陽太に見えるように、
わざと右手を差し出した。
「…なに、繋ぎたいの?」
そう言って、彼はニヤッと笑う。
「…うっさいわ」
__手が触れ合えば、陽太の体温が伝わる。
むかつくくらい、あったかい。
「ねぇ、ちゃんとアレ持ってきた?」
「当たり前だろ、何しに行くんだよ」
「そうだけど、
陽太ってどこか抜けてんじゃん」
「あほ。やるときはやる男なんだよ。
なぜなら、俺はジェントルマ……
「あーそうですか」
「…おい」