【短編】恋人関係のおわり頃。
__ガチャッ……
市役所を出たところで、
ふわふわした感覚に襲われる。
まるで、夢の中にいるような。
「……恋人関係、終わっちゃったね」
「……今日から夫婦だな」
「……ねぇ陽太、
私ぜんぜん実感湧かないんだけどさ…
千田 架純じゃなくて、
宮野 架純になったの?」
私がそう言うと
陽太は歯を見せて、嬉しそうに笑った。
「そうだよ。またよろしくな、女房♪」
そう言って、陽太は私の肩を抱き寄せる。
「……女房って古くない?」
「そうか?……んじゃあ、家内」
「えー。…純白の花嫁って
呼んでくれてもいいんだよ」
「え?純"黒"の花嫁?」
「人を鬼嫁扱いするな、ばか」
そう言って、陽太の背中を軽く叩いた。