【短編】恋人関係のおわり頃。
「なぁ、架純」
「んー?」
「…ありがとな」
「え?」
突然のお礼に驚いて、
私は思わず立ち止まる。
「…架純が辛いとき、
そばにいてやれなかったこともあったじゃん。
でもさ……それでもずっと
俺の隣にいてくれて、さんきゅーな」
「………」
「架純ー?」
返事をしない私に対し、
陽太は顔を覗き込んでくる。
「……なに泣きそうになってんの」
「だ、だって…
陽太がらしくないこと、言うから…」
そう言って、私は涙を必死にこらえる。
「……どうせ泣くなら、
明日の結婚式にしろよなーー」
そう言って、陽太は私の頭を
ポンポン撫でる。
「う、うるさい…」