黒猫の恋模様
食べ終わった食器をキッチンへ運び、
学校へと向かう準備をしようとしたところで
詩の叫び声に近い声が聞こえてきた。



「凛、香水くさい!!」



強い香水の香りが苦手な詩を迎えに行かせたことを後悔しつつ
消臭剤を持って玄関へと向かう。

玄関に着けば、だらしなく着崩された制服を纏いながら
爆睡しているもう1人の幼なじみがいた。
詩は爆睡している凛から離れたところで
鼻を押さえてうずくまっていた。



「悪い、詩。気付かなかった。
ほら、リビングで待ってろ」



うずくまっている詩にそう声をかけると
もぞもぞと動きながらリビングへと入っていった。



「凛、お前また女の所行ってたのかよ」



消臭剤をふりかけながら、相変わらず爆睡している凛をつつく。

男の俺でもハッとするような綺麗な顔立ちの凛は
ほとんど家へと帰らず、色んな女の家を転々としている。
しかし、最近は家に帰っているようだったので
強烈な香水を移されて俺の家にくることもなかったので、
完全に油断していた。



「ん〜、えいちゃ〜ん」

「誰がえいちゃんだっつーの。
俺と詩は先に行くからな」



無駄に絡んでくる凛をリビングのソファーへと運び終えた時
ちょうど詩のくせっ毛との格闘が終わったようだった。



「あと3分待って」

「はーい」



詩の間延びした返事を聞きながら
ダッシュで自分の用意を済ませれば
家の合鍵を凛の近くに置き、詩と家を出た。
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