黒猫の恋模様
突然のことに騒めく教室。
そんな教室に見向きもせずに、詩のことを追おうとすれば



「俺がいくわ」



さっきから真剣な顔のままの凛が俺に告げる。
何時もはふらふらして、ちゃらけている凛の真剣な顔は
幼なじみの俺でさえあまり馴染みがないため
驚きと戸惑いで立ち止まれば、それと同時に駆け出した凛。

学年イチの女好きの凛は来るもの拒まず去る者追わず主義で
女子を追いかけるなんて姿は滅多に見ない。
その為か、さっきとは違う騒めきが教室を覆い尽くした。



「えーと…」



あまりにも突然なことな上に、
今年から教師になった前ちゃんにとって
こんなイレギュラーなことは当然パニックの元だ。



「あー、今日は元々西園寺(さいおんじ)の体調が悪くて…
新名はしんどくなった西園寺に便乗してサボるつもりだって」



サボりの常習犯の凛だからこそ通るような
言い訳を前ちゃんに告げてから
立ち上がっていた俺も席についた。

呆れ顔の前ちゃんは俺の予想通り、
詩の後ろの席に西嶋を座らせて教室を去って行った。
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