空に咲く花とキミを
反射的に声のした方を見ると、直くんと話していたカップルの女の人が立ち上がっていた。

その表情から、また直くんが何かしたのだと…あたしは察した。

「な…直く……。」

あたしは唄うのも忘れて2人に注目すると、息を呑んだ。

「あたしは…これでも子供を2人育ててるんだ‼︎かわいそう⁈あたしのどこがかわいそう⁈結婚して子供がいて、こんなに幸せなあたしの…どこがかわいそうって言うのよ⁈」

直くんの表情は、あたしに背中を向けていてわからなかった。

ただ直くんが、彼女に”かわいそう”と言ったことだけはわかった。

「あらあら、ウチでもめ事はよしてちょうだいよ。」

他のお客さんの相手をしていたあつ子ママが、仲裁のためだろうか戻ってきた。

「だってあつ子ママ、コイツがあたしのことかわいそうだって…!」

「直くん、本当に真美ちゃんにそんなこと言ったの?」

「…。」

何も答えなかったそれが、直くんの答えなんだろう。

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