空に咲く花とキミを
スナックから徒歩数分で帰ることができる寮の部屋で、直くんは荒れていた。

「華、酒!飲み直そうぜ!」

「直くん今日はもう遅……。」

「ぁあ⁈それじゃオレの気が晴れねーんだよ‼︎だいたいあのクソババアも訳のわかんねーこと言いやがって、言葉が暴力だ?言葉は言葉でしかねんだよ!」

直くんは酔っている上に機嫌がかなり悪いーーーこうなってしまうと、あたしがなだめられる範疇を超えてしまう。

「なに飲むの…?」

「おぅ、焼酎だな。」

諦めたあたしはグラスを用意して、氷を入れた。

「直くん、できたよ。」

あたしの声に、直くんがグラスを受け取りに近づいて来たと思ったら、突然お腹のあたりに鈍痛が走った。

一瞬、何が起こったのかわからなくて、視線を下におろして初めて現実を知る。

直くんの拳が、あたしの痛みの原因だったのだ…。

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