空に咲く花とキミを
直くんは、何とか新しい職場で働いてくれていた。

江藤くんとはどうなったとか気になることはあるけど、聞けばまた直くんは不機嫌になるだけ。

直くんの口からその名前が出て来ないということは、そういうことなんだと解釈することにした。

仕事さえ真面目にしていてくれたらそれでいいーーー直くんに多くを望めないことは、解っているつもりだから。

そしてあれ以来殴られることもなく、あの日は直くんの機嫌が悪すぎただけだと思うことにした。

そう思わないと、あたしの賭けが終わってしまうような気がしたからーーー…。


「おはようトモカちゃん。久しぶり〜。」

あたしは同じ職場でできた友達のトモカちゃんの横で、ラジオ体操を始めた。

「おはよう華ちゃん。休み中は地元に帰ってたの?」

トモカちゃんはこの会社の社員で、2歳年下のおっとりとした女の子。

もっと早く友達になれば良かった、そう思うくらい良い子だ。

「ううん、こっちにいたよ。」

直くんと仕事先が変わって、あたしの視野は一気に広くなった。


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