空に咲く花とキミを
「そうなんだぁ、連絡すれば良かった。華ちゃんと遊びたかったな〜。」

「じゃあ今度遊ぼうよ!」

自分から、こんなことを言ってしまうくらい。

以前は、常にどんよりとした空気に纏われていたあたしだったけど、直くんがいなくなってから急に視界が開けた感じになった。

そうすると不思議なもので、自分から人と関わりたいと思うようになったんだ。

会社であたしが話す人といえば、城間くんと大崎さんと田村くんの3人だけだったのに…今ではトモカちゃんを含め、たくさんの人との会話がある。

直くんのいない時間が、どんどん楽しくなっていく。

これでいいとは思っていないけど、向き合わなければいけない現実から目をそらして、そこから避難するかのように現実逃避をしてるのは事実。



だから、毎日仕事帰りのバスの中で、あたしは憂鬱の塊となる。

家に着くなと願う。

直くんが、残業で遅くなりますようにと祈る。

「…。」

最後は、窓から見えるきれいな夕陽に、城間くんの笑顔を重ねる。

< 113 / 261 >

この作品をシェア

pagetop