空に咲く花とキミを
そしてまた明日、その笑顔に会えることを励みに、一晩を過ごす。

そうすることで、色んな気持ちをごまかしながら、何とか日々を過ごしていた。

せっかく給料をもらっても、寮費などの引かれものと借金の返済をすると、手元に残るのは思った通りわずかばかりのお金しかなかった。

そろそろ新しい化粧品が欲しいな……そんな感情も捨てなければならなかった。

直くんの仕事先がやっと落ち着きそう………一緒に住んでいる以上、これからも順調に働いてくれることを祈るしかなかった。



「こんばんは。おじゃまします。」

「荒木さん、あがってあがって。早く飲みましょうよ。」

ある週末、直くんが会社で仲良くなった人が家に来た。

直くんが人を招いたのは、江藤くん以来だった。

「初めまして、は…華です。」

「あぁ、原くんから聞いてます。荒木です、よろしく。」

江藤くんが来た時のことを思い出し、あたしは不安を抱えながら挨拶を交わした。

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