空に咲く花とキミを
でも、あたしの中の不安や心配は取り越し苦労だったみたいで、荒木さんのとても穏やかな人柄にいつしか安心を覚えていた。

あたしや直くんよりも年上だからだろうか…会話の交わし方も上手いし、大人の余裕みたいなものを感じた。

荒木さんはお酒も強く、直くんよりもたくさん飲んでいた。

途中から直くんは負けじと張り合うように飲んでいて、それがおかしくて、今日のあたしは何だか楽しい気分だった。

「へぇ、原くんは色々なことをしてきたんだね。」

直くん得意の嘘っぽい武勇伝にも、優しく相手をしてあげていた。

「荒木さんは、何で地元を離れてここにきたんですか？」

派遣社員として働く人は、訳ありも少なくないとトモカちゃんから聞いた。

だからなのか、突然会社に来なくなったと思ったら、実は消息不明で音信不通という人もいるんだとか。

実際あたしと直くんだって訳ありといえば訳ありだし、前に大崎さんは、地元には別れた奥さんと高校生の娘さんがいると言っていた。


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