空に咲く花とキミを
「…。」

”華さん”ーーー…その響きに、城間くんの顔がチラつく。

「おい華、手伝えよ。てかまずはカンパイだな。」

「あっ、うん!」

でもそれも、直くんの一言でかき消されてしまった。


「どうだ、江藤。オマエもこれくらい出来るようになっとけよ?」

「は、はぁ。」

お酒のつまみはオレが作ると言って、張り切って作った直くんは、江藤くんに自慢げに話をしていた。

カンパイの後すぐに台所に立ち、あたしを助手に何品か作ってくれた直くん。

以前ナントカっていう有名な料理人に弟子入りしていた事がある、という自慢話が直くんの口から飛び出して来たけど、作ってくれたつまみは誰でも作れそうなものばかり。

だいたい野菜の切り方もあやしく、本当に弟子入りしてたの?と疑いたくなったけど、また怒るだろうからやめておいた。

江藤くんの反応がイマイチなのも、きっとあたしと似たようなことを思っているのだろう。

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