空に咲く花とキミを
そんなことを考えるだけで、城間くんの存在があたしの心を占領していく。

《行きたい!でも彼氏の束縛がけっこうひどくて、あんまり自由がないんだ。大崎さんが言ってた飲み会にも参加できるかわかんなくて。ごめん、またメールするね!》

あたしは城間くんにメールを送信すると、慌ててケータイをとじた。


「おぅ華、風呂はどうした。」

直くんが、帰ってきた。

「お酒とかまだ残ってたから、飲んで洗い物とかしてから入ろうと思って…。」

あたしは、その場をテキトーにごまかしてから、グラスを洗い始めた。

「華、良かったな。外歩いてたら頭が冷えてきて、誰も殴らずに帰ってきてやったぞ。」

「そう…良かったね。」

直くんは最初から、人を殴る気なんかなかったんだ…ただ、気を引きたいだけ。

典型的な「かまってちゃん」なんだと思う。

「先に寝るぞ。オマエも早く寝ろよ。」

「……。」

何はともあれ気が済んだのか、寝室に入っていった直くんをあたしは静かに見送った。


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