空に咲く花とキミを

そして再びケータイとにらめっこ。

《束縛かぁ、華さん大変だね。上手いこと抜け出せたら遊ぼうよ！もうすぐお盆休みだし。》

「…。」

もうすぐお盆休みーーー朝晩の気温差が少しずつ開いてきた8月、この町に来て1ヶ月が過ぎていた。

《うん、ありがとう。お風呂入って寝るね。またね。》

お盆休みには、久しぶりに実家に帰ろうと思っていて、少し早めに寮を出れば城間くんに会う時間を作れるかもしれない。

そんな期待をしている反面、そのことが直くんにバレたらどうしよう、などという不安も湧きあがる。


なかなか話す機会を作れないまま、明日からお盆休みという日の夕方、仕事から帰ってきて、ようやくあたしは口を開いた。

「な、直くん。」

「なんだ？飲みに行くから支度しろよ。」

「あたし、明日から実家に帰ろうと思うんだけど…直くんはどうする？」

言った直後、直くんの表情が険しくなっていくのがわかった。

「何で帰るんだよ？」

「え…、だって、しばらく帰ってないし…。」