空に咲く花とキミを
「オマエが帰ったらオレはどうすんだよ⁈車にも乗れなくなるし…少しは考えろよな。それに、オレと一緒に住んでて実家に帰るとか、マジで意味わかんねー。オマエのその神経を疑うわ。」

「……。」

あたしは、言葉を失った。

久しぶりに実家に帰りたいというのが、そんなにいけないことなの?

そして何よりも、直くんの相変わらず自分本位な考え方に愕然とした。

「わかったらさっさと支度しろよな。」

直くんというあたしを縛りつけている鎖は、思った以上に頑丈みたいで、あたしはもがくことしかできなかった。

どうすれば解(ほど)けるのか……誰か助けて…………城間くん…。

その名を呼んでいいのか…そう思えば思うほどこみ上げる想い。

それは、太陽に溶けることも闇に迷うこともなく、優しく月に照らされているようだった。



「いらっしゃい。今ボトル持ってくるからね。」

近場で軽く夕飯を済ませてから来たのは、寮の近くのスナックで、すっかり顔なじみになってしまっていた。


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