アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
古くからこの地で収穫出来る特産物や日用品を中心に、食料品や衣料品を扱う専門店。雑貨店、さらには食堂や菓子店などの飲食店と言った多岐にわたる商店が連なり、集結している。
一人では勿論、滅多に街へ出た事の無いスズランの目にはどの店も風景も珍しく映る。耳に入る喧騒や匂い、全てに興味を惹かれた。
「───ねえ、セィシェル! あれはなに?」
「……乾物屋」
「ふぅん。じゃあ、あっちのは?」
「どう見ても肉の専門店だろ…」
「すごいお肉の塊!! じゃああそこの可愛いお店は…」
「果実茶の店!」
「へえ! 行ってみたい」
「あのなァ……俺たちは買い出しに来てんの! 遊びに来てる訳じゃあねぇんだぞ?」
「そんなのわかってるもん」
気になる店を尋ねたり足を止めるスズランに、セィシェルは呆れてため息を吐いた。
加えて、すれ違う通行人はスズランの珍しい容姿に目を奪われながらも好奇の眼差しを向けてくる。スズラン本人は全く気にせず街巡りを楽しんでいるが、セィシェルは周囲を警戒する様に眼光を鋭くした。
「ったく、本当に分かってんのか? それに果実茶なんか甘ったるくて飲めるかっての」
「えー、美味しそうなのに」
一人では勿論、滅多に街へ出た事の無いスズランの目にはどの店も風景も珍しく映る。耳に入る喧騒や匂い、全てに興味を惹かれた。
「───ねえ、セィシェル! あれはなに?」
「……乾物屋」
「ふぅん。じゃあ、あっちのは?」
「どう見ても肉の専門店だろ…」
「すごいお肉の塊!! じゃああそこの可愛いお店は…」
「果実茶の店!」
「へえ! 行ってみたい」
「あのなァ……俺たちは買い出しに来てんの! 遊びに来てる訳じゃあねぇんだぞ?」
「そんなのわかってるもん」
気になる店を尋ねたり足を止めるスズランに、セィシェルは呆れてため息を吐いた。
加えて、すれ違う通行人はスズランの珍しい容姿に目を奪われながらも好奇の眼差しを向けてくる。スズラン本人は全く気にせず街巡りを楽しんでいるが、セィシェルは周囲を警戒する様に眼光を鋭くした。
「ったく、本当に分かってんのか? それに果実茶なんか甘ったるくて飲めるかっての」
「えー、美味しそうなのに」