アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
「あの店はいつも無駄に混んでるから駄目だ。用が済んだら早く帰るって約束だろ?」
「はぁい。残念だけどマスターに心配かけちゃうもんね」
「……ほら、まだ回らないといけない店が三軒もあるんだ。行くぞ」
既に買い込んだ物の荷物を両手いっぱいに持ち、セィシェルは早足で歩き出す。
「待ってよセィシェル! わたしも荷物はんぶんもつよ?」
「平気だし。いつもは俺一人でもっと効率良く回れんだ、てゆーか逸れるなよ?」
「もう! またこども扱いして!」
認めたくはないが、手伝う所か足でまといになっている気がしないでもない。確かに人通りも増えてきた、絶対に逸れない様必死にセィシェルの背中を追う。すると不意にセィシェルが小さな店の前で足を止めた。
「お、ここだ。この店狭ぇからスズは表で待ってろよ?」
「うん」
店の看板を見上げるとどうやら缶詰の専門店の様だ。
「いらっしゃいませ! ああ、ユージーンさんとこの! いつもご贔屓に!」
店員の大きな声にちらりと狭い店内を覗くと、壁一面に魚介や果物と言ったあらゆる種類の缶詰が天井まで高く積み上げられていて思わず「わあ…」と驚く。一つでも崩したら大変な事になりそうだ。
「はぁい。残念だけどマスターに心配かけちゃうもんね」
「……ほら、まだ回らないといけない店が三軒もあるんだ。行くぞ」
既に買い込んだ物の荷物を両手いっぱいに持ち、セィシェルは早足で歩き出す。
「待ってよセィシェル! わたしも荷物はんぶんもつよ?」
「平気だし。いつもは俺一人でもっと効率良く回れんだ、てゆーか逸れるなよ?」
「もう! またこども扱いして!」
認めたくはないが、手伝う所か足でまといになっている気がしないでもない。確かに人通りも増えてきた、絶対に逸れない様必死にセィシェルの背中を追う。すると不意にセィシェルが小さな店の前で足を止めた。
「お、ここだ。この店狭ぇからスズは表で待ってろよ?」
「うん」
店の看板を見上げるとどうやら缶詰の専門店の様だ。
「いらっしゃいませ! ああ、ユージーンさんとこの! いつもご贔屓に!」
店員の大きな声にちらりと狭い店内を覗くと、壁一面に魚介や果物と言ったあらゆる種類の缶詰が天井まで高く積み上げられていて思わず「わあ…」と驚く。一つでも崩したら大変な事になりそうだ。