アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
「ちょっとぉ! ひどぉおい、避けるなんて…って何よその女の子! ま、まさか恋人? もしかしてデート!? 嘘でしょ、ボクを差し置いてデートなんてっ!!」
「ち、ちげぇよ! 何一人で盛り上がってんだ? こいつは俺の…、その…」
「はじめまして、スズランって言います!」
「ああ! 貴女がスズちゃんなのね!」
名乗り出ると花屋の店員はスズランをじぃっと見つめた。その頭から爪先までじっくり見定める様な視線にたじろぐ。
「あ、あの?」
「……ふーん。貴女本当に美人ねぇ。珍しい髪色だし、お花みたい。フィオ兄がお熱なだけあるわ! でも残念、フィオ兄は今配達中でいないのよね」
「ふん、フィオルの奴居ねえの?」
「わ、フィオルさんのご兄妹?」
「フィオナよ。よろしくね」
「はい!」
フィオナが明るく笑って片目を閉じたのでスズランもにこりと笑みを返した。
「じゃあ親父さんに頼むか。おい、スズも中入れよ」
「あ、わたしここでお花見ててもいい?」
「じゃあすぐ終わせるから待ってろ。勝手にどっか行くなよ?」
「はぁい!」
「えー、もっとゆっくりして行きなよぉセィシェルくん! ね。ボク果実茶淹れてくるから待ってて!」
「ち、ちげぇよ! 何一人で盛り上がってんだ? こいつは俺の…、その…」
「はじめまして、スズランって言います!」
「ああ! 貴女がスズちゃんなのね!」
名乗り出ると花屋の店員はスズランをじぃっと見つめた。その頭から爪先までじっくり見定める様な視線にたじろぐ。
「あ、あの?」
「……ふーん。貴女本当に美人ねぇ。珍しい髪色だし、お花みたい。フィオ兄がお熱なだけあるわ! でも残念、フィオ兄は今配達中でいないのよね」
「ふん、フィオルの奴居ねえの?」
「わ、フィオルさんのご兄妹?」
「フィオナよ。よろしくね」
「はい!」
フィオナが明るく笑って片目を閉じたのでスズランもにこりと笑みを返した。
「じゃあ親父さんに頼むか。おい、スズも中入れよ」
「あ、わたしここでお花見ててもいい?」
「じゃあすぐ終わせるから待ってろ。勝手にどっか行くなよ?」
「はぁい!」
「えー、もっとゆっくりして行きなよぉセィシェルくん! ね。ボク果実茶淹れてくるから待ってて!」