アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
「スズ…!! 無事に帰ってた…っ、良かった…。俺、あちこち探したんだぜ…」
スズランの姿を確認するとセィシェルは安堵したのか長椅子に仰向けに倒れ込んで身体を預けた。汗で服が身体に張り付き、激しく肩で息をしている。
「セィシェル! ごめんなさいっ…わたし…」
「いや、いい。スズが無事ならいいんだ。俺が目を離したからだ」
天井を仰いだまま弱気な声を出すセィシェル。てっきり先に帰った事を咎められると思っていたので調子が狂う。
「違うの、勝手に先に帰ってきたのは…」
「ごめんな、スズ…。泣いたのか?」
スズランの腫れた目を見据え、セィシェルは悔しそうに顔を歪めた。
話を聞くとあの後直ぐに例の男二人組が商店街で小さな騒動を起こしたらしい。スズランを探していたセィシェルはその時に出動した民兵の護衛隊に話を聞き、更に連行される男の片割れの小男を見て血の気が引く思いで酒場まで帰ってきたと言う。
「もうぜんぜん平気だよ! け、警備員の人が偶然通りかかって助けてくれたの。その後もお店の前まで送ってくてれて…!」
「本当に何もされなかったか? 俺がしっかりしてれば怖い思いさせずに済んだんだ。ほんとごめん…」
スズランの姿を確認するとセィシェルは安堵したのか長椅子に仰向けに倒れ込んで身体を預けた。汗で服が身体に張り付き、激しく肩で息をしている。
「セィシェル! ごめんなさいっ…わたし…」
「いや、いい。スズが無事ならいいんだ。俺が目を離したからだ」
天井を仰いだまま弱気な声を出すセィシェル。てっきり先に帰った事を咎められると思っていたので調子が狂う。
「違うの、勝手に先に帰ってきたのは…」
「ごめんな、スズ…。泣いたのか?」
スズランの腫れた目を見据え、セィシェルは悔しそうに顔を歪めた。
話を聞くとあの後直ぐに例の男二人組が商店街で小さな騒動を起こしたらしい。スズランを探していたセィシェルはその時に出動した民兵の護衛隊に話を聞き、更に連行される男の片割れの小男を見て血の気が引く思いで酒場まで帰ってきたと言う。
「もうぜんぜん平気だよ! け、警備員の人が偶然通りかかって助けてくれたの。その後もお店の前まで送ってくてれて…!」
「本当に何もされなかったか? 俺がしっかりしてれば怖い思いさせずに済んだんだ。ほんとごめん…」