アーサ王子の君影草 ~スズランの杞憂に過ぎない愁い事~
商店街にはたくさんの人々が集まっており、色とりどりの物や音で溢れかえっていた。
酒場から殆ど出ないスズランにとってはその全てが目新しく煌めいて見える街。だが、恐ろしい顔も持ち合わせているのだ。今日はそれを身をもって体感した。
ライアやセィシェルの言う通り、まだまだ子供なのだと身に染みる思いだ。
「わたし、本当に世間知らずで何も知らない…。早く大人に……ううん。成人するまでにもっと色んなことに触れて、自分で動けるようにならないとだめなんだ…」
いつまでもユージーンやセィシェルに甘えてばかりではいられない。視野を広げたい、スズランなりにそう思案した。
「どうしよう、まだぜんぜん眠くない……あ! もしかしてこの位の時間なら警備さんいるかも!」
スズランは籐製の棚の上に畳んで置いてあるマントに目を向けて勢い良くベッドから起き上がった。なかなか会えないのなら色々な時間帯を攻めてみればあの警備員に遭遇出来るかもしれない。
まだ酒場の営業時間の為、あまり長い時間は取れない。特にセィシェルに見つかりでもしたら……。
それでも一度思い立つとじっとして居られないスズランはマントを抱き抱えてこっそりと部屋を後にした。
酒場から殆ど出ないスズランにとってはその全てが目新しく煌めいて見える街。だが、恐ろしい顔も持ち合わせているのだ。今日はそれを身をもって体感した。
ライアやセィシェルの言う通り、まだまだ子供なのだと身に染みる思いだ。
「わたし、本当に世間知らずで何も知らない…。早く大人に……ううん。成人するまでにもっと色んなことに触れて、自分で動けるようにならないとだめなんだ…」
いつまでもユージーンやセィシェルに甘えてばかりではいられない。視野を広げたい、スズランなりにそう思案した。
「どうしよう、まだぜんぜん眠くない……あ! もしかしてこの位の時間なら警備さんいるかも!」
スズランは籐製の棚の上に畳んで置いてあるマントに目を向けて勢い良くベッドから起き上がった。なかなか会えないのなら色々な時間帯を攻めてみればあの警備員に遭遇出来るかもしれない。
まだ酒場の営業時間の為、あまり長い時間は取れない。特にセィシェルに見つかりでもしたら……。
それでも一度思い立つとじっとして居られないスズランはマントを抱き抱えてこっそりと部屋を後にした。